これまでにお示ししたスライドから、診断法の進歩が放射線治療の精密化に貢献していることを御理解頂けたことと思います。診断は三次元から、動体を解析する四次元の世界に入りつつあります。追跡照射の効果が大きいことを見て頂いたことから分かるように、今後の治療では四次元の世界での診断と治療の連携がきわめて重要な目標になることでしょう。 四次元の]線CTのトピックスとして放医研で研究が進んでいるマルチスライスCTをご紹介します。このCTでは検出器を一挙に128列に増加しています。その結果として人の胸部全体そのまま動画のCTとして撮像することに成功しています。動画はボランティアから撮像された画像で、心臓と肺血管の動画つまり呼吸と血流の状況が極めてリアルに再現されています。現在は画像再構成のソフトウエアの開発中ですが、近い将来にリアルタイムの表示が可能となる由です。 このような装置が高精度の放射線治療装置と連動して使用できるようになれば、治療の精度は飛躍的に上昇し、患者も面倒な固定具から解放されることになるでしょう。
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