原体照射法から進化した放射線治療法として、IMRT (Intensity Modulated Radiation Therapy ) といわれる治療法が盛んに使われるようになっています。原体照射法では絞りの開閉でビームの幅を調節するだけでしたが、IMRTではビームの中の線強度を変化させたり、遮蔽の精度を高めたりして、より精密な線量分布が得られるようになっています。その最大の特長は、目的とする線量分布を設定し、その設定を満足するような治療計画を逆計画法という形で製作することにあります。しかし現在の段階のIMRTではこの逆計画作業が複雑で多大の労力を必要とするため専門家のいない病院では実施困難です。スライドに示したHelical Tomotherapyといわれるこ装置は、こうした面倒さと不確実性を一挙に解決することを目指して米国で開発中です。 この装置が実用的な価格で供給されるようになれば、これがIMRTに一挙にとって替わるかもしれません。しかし私はその実現性には疑問があると思っています。X線による再構成にはどうしても限界があり、結局は陽子線治療や重粒子線治療にはかなわないからです。
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