1977年の放医研シンポジウムは速中性子線治療をテーマにしたものでありました。この時期までの日本にはまだ荷電粒子線治療をという声はほとんどありませんでした。速中性子線の強力な生物学的作用が難治の癌を克服するのではないかという期待が強かったのです。しかしこのシンポジウムで速中性子線治療の限界がほぼ明らかになり、将来の放射線治療は荷電粒子線治療を目指して転換すべきであるとの認識が生まれてきたと思います。 スライドはこのシンポジウムで私が重粒子線治療の将来構想として提示したものですが、重粒子線治療ことに放射性ビームとX線CTおよびPETの組み合わせによる超高精度治療が将来の目標であることを示しています。四半世紀の現在、ようやくこの構想は認知され、その実現に向かって、放医研での研究が急速に進んでいます。
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