スライドは食道癌の化学放射線療法のきっかけを作ったといわれる論文です。CDDPと5FUによる化学療法と放射線治療の併用で治療された食道癌の治療成績が、放射線治療単独治療よりはるかによかったので、人道的の配慮から第V相試験(ランドマイズドトライアル)として開始した臨床試験を途中で中止して、併用治療のみを継続したという発表であります。 いわゆるEBMはランドマイズドトライアルでなければ得られないというような風潮が強まっていますが、この論文のように、治療効果の改善が著明に認められれば、必ずしもランドマイズドトライアルを強行する必要はないと私は思います。放医研の重粒子線治療の場合は、大部分の対象について、治療効果の改善が第II相試験の段階で確認され、これ以上第III相試験を行う必要がないと合意されました。
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