現在もなお治療成績が挙がらない肺癌の対策として、舘野等は1994年に胸部CT検診研究会を発足させ、X線CTを用いる肺癌の検診と早期診断の研究を開始し、見るべき成果を挙げています。この検診で発見された肺癌症例の約80%はTA期でありました。このような早期の肺癌の診断は従来の間接撮影を中心とする検診ではとても診断できませんでした。CT検診により肺癌発生の自然史を解明できたのは大きな功績であったと私は考えます。 しかし又CT検診で発見された早期肺癌の症例の約一割が、早期治療にもかかわらず肺癌で死亡しているという事実も明らかになりつつあります。肺癌はおそろしい癌です。できてしまった癌を見つける二次予防だけでは100%の救命はできません。癌対策の根本は一次予防であることを再確認することとなりました。
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