2021年 JIRA年頭所感


一般社団法人 日本画像医療システム工業会
会長  山本 章雄

 2021年の年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、医療関係者を筆頭に社会全体として新たな感染症による脅威に立ち向かった一年となりました。2021年も再び感染拡大が進行しており、予断を許さない状況です。医療関係者の皆様には改めて感謝と敬意を表したいと思います。

 厚生労働省の「2040年を展望した社会保障・働き方改革のとりまとめ」において、2040年には高齢者の人口の伸びは落ち着く一方、現役世代の急減と医療福祉分野での就業者需要の増加が見込まれています。さらに、医師の時間外労働の上限規制は2024年4月に迫り、医療分野での生産性の向上・働き方改革は急務となっております。こうした社会環境の下、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、医療の分野においてもデジタル化の流れが加速しております。

 JIRAは現在「JIRA画像医療システム産業ビジョン2025」にある4つのビジョンの実現にむけ活動を行っております。
 2021年度のJIRA活動は、ウィズコロナ・ポストコロナにおける「ニューノーマル時代の新たな価値提供」をめざし、このビジョンのもと、次の4項目を重点課題として取り組んでまいりたいと思います。

  • DX(Digital Transformation)の拡大
  • 医療従事者の業務効率向上への貢献
  • 感染防止対策の啓発
  • 会員企業の環境変化に伴う共通課題への支援(製品プロモーション、人材育成等)

 “DXの拡大”、“医療従事者の業務効率向上への貢献”にあたっては、AIやビッグデータ、IoT、そして5Gやロボティクスといった新しい技術の社会実装が重要となってきます。たとえば、データヘルス改革の加速をはじめ行政サービスや医療提供において健康・医療・介護情報等の利活用の進展や、AIやデジタルヘルスといった新しい技術により医療の質の均てん化や医療現場の負担軽減、また早期診断・治療を通じた重症化予防への貢献等が期待されます。
 厚生労働省との第17回の定期意見交換会(2019年7月開催)において「改善改良に伴い必要に応じて認証から承認へ移行できる制度」を要望し、関係者の協力のもと検討をおこない昨年12月にこの運用通知が発出されました。各社の新技術が速やかに移行承認され、いち早く医療現場で活用されることを期待しています。
 行政で検討の進むベース・レジストリでの健康・医療データの取り扱いや産業界のためのデータ利活用基盤整備、AIやデジタルヘルスの保険償還の予見性の向上も重要となってまいります。また、国内外において医療機関におけるサイバーセキュリティの問題も発生しております。JIRAの関連製品は平均更新年数が10年超と、長きに渡って使用されており、こうした製品の対策も重要となります。

 “感染防止対策の啓発”につきましては、今後も恒常的な対応が必要と考えます。JIRAは2016年8月に経済部会診療報酬委員会の下部組織に感染防止対策ワーキンググループを発足し、JIRA内の各委員会と協力の上、感染対策の取組を強化、JIRA会員企業にむけ啓発活動を推進しております。医機連に新しく発足した感染防止ガイドライン作成ワーキンググループとも連携し、医療機器の販売・修理等で医療施設を訪問する際のガイドラインの策定、および周知活動にも貢献してまいります。

 “会員企業の環境変化に伴う共通課題への支援”としましては、会員企業の事業強化や人材育成につながるウェブナーの開催等の活動を推進いたします。

 このほか、2021年1月から2年間、JIRAはDITTAの議長となりました。これまでJIRAは「医療機器の単一審査(Medical Device Single Review)」、「規制当局者へのIMDRF成果の教育プログラム」の推進を提唱してまいりました。今後は議長として、これら推進活動を更に強化してまいります。日本行政とも連携を取りながら、国際整合の実現に向けてグローバルな工業会としてDITTAをリードし、IMDRFへの提言をしてまいります。

 JIRAは、これら活動を通じ、産業界としてより早く、より効率的に世界の医療現場に医療機器を届けることを目指します。
 2021年はデジタル変革の年と捉えています。JIRA画像医療システム産業ビジョン2025の実現にむけ、ステークホルダーの皆様と連携、協力して、新たな技術と新たなルール作りにより、医療現場の課題解決の実現、ニューノーマル時代の新たな価値提供にチャレンジしてまいりたいと思います。
 画像医療システム産業はX線撮影による画像診断装置から始まり、常に医療現場のニーズと向き合って改良改善を重ね、画像のデジタル化を起点としてCT、MRI、核医学等の診断装置、放射線治療装置などのモダリティや、PACS等のシステムで成長し、関連する製品やサービスとともに発展してきました。ここ数年は、ICT、医療機器プログラム、AI といった技術の広がりに伴って毎年新たな企業に入会いただき、2021年1月1日現在で202社の会員企業を擁する工業会に成長しています。会員企業及び関係各位の更なるご理解・ご協力と、ご指導・ご鞭撻をお願い申し上げますとともに、皆様のご健勝とご多幸を祈念して、新年のご挨拶といたします。