2017年 JIRA 年頭所感(創立50周年を迎えて)


一般社団法人日本画像医療システム工業会
会長  小松 研一

 2017年の年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 1967年9月14日、東京の全ラ連会館において、JIRAの前身である「日本放射線機器工業会」が創立されました。その後、工業会の事業領域の拡大に伴い名称変更を行い、現在の日本画像医療システム工業会JIRAとして創立50周年の年にあたります。

 創立50周年の年初でありますので、少しだけ振り返ってみますと、創立時の会員企業数は97社でしたが、現在では薬機法規制に関連する企業集団として186社の会員企業を擁する工業会となりました。まさに日本の画像医療システム産業を牽引する工業会となりました。これはひとえに諸先輩方の見識・ご努力によるものであり、また創立当初から、現在に至るまで50年間夫々の事業を継続し続け、当工業会を支え続けていただいている18社、並びに会員企業の一方ならぬご支援の賜物でもあります。あらためて当工業会を長年支えていただいたことに対し、敬意を表します。創立当初から医薬品と機器を法律として分離するよう働き掛けてまいりましたが、2014年「薬機法」の施行により医薬品と医療機器を規制する法律が別章建てとなり、医療用単体プログラムも規制対象になりました。また、創立当初から国際的視野に立った連携を志し、海外の展示会はもとより、海外法規制あるいは国際標準化に関する活動を活発に実施してきました。2013年にはMITA、COCIR、JIRAが中心となり、国際工業団体DITTA(International Congress of Diagnostic Imaging and Therapy System Trade Association)を更に進展させ、規制当局側のIMDRFに対するシェアホルダーとして位置づけられております。2015年、2016年の2年間JIRAがDITTAの議長として、活発に活動し、多くの成果を挙げることができました。

 さて、今後のJIRAという工業会活動を考えますと、世界中の医療産業を取り巻く環境に思いを馳せる必要があります。世界は高齢化社会に向かっており、日本はその先頭を切って超高齢化社会が足元まで迫っています。2030年問題も目前であります。医療の高度化と効率化の両立を進め、社会保障給付費の適正化を図って行くことは大きな課題です。最先端の医療技術の開発と同時に、医療情報分野へのICTの高度な利活用が不可欠であり、医療情報インフラ整備をすすめ、医療・介護に関するAIの応用開発など、先端的な技術開発を促進してゆく必要があります。

 昨年から始まった政府の成長戦略の司令塔である「未来投資会議」においても、「医療・介護の未来投資と課題」のテーマで、医療情報のデジタル化・標準化、ネットワーク化、ビッグデータ化とその利活用について議論され、ICT、AIを活用した医療・介護のパラダイムシフトに向けた工程表も示されました。予防・診断・検査・治療・リハビリ・介護・自立の各フェーズにおいて情報の収集と利活用を行う仕組みの構築が徐々に進められ、臨床におけるICTの徹底的な適用による高度で効率的な次世代医療の実現に向けてイノベーションが始まっています。情報医療空間で安心安全な個々人にあった医療・介護のあり方を見出し、実際の医療にフィードバックしてゆくという、医療・介護のパラダイムシフトが始まります。当工業会JIRAの画像医療システム製品の果たすべき役割を、今後半世紀に際し、道筋を見つめてみるべき時ではないかと思います。世界の医療市場全体は600兆円とも700兆円とも言われています。日本を活動起点とし、世界の医療関連工業会と連携を取りつつ、より大きな医療市場に対し、当工業会が貢献できるよう各種の活動強化を図り、推進してまいります。

 来るべき半世紀は、環境の変化をいち早く捉え、その課題を見据えて、さらに国際化、関連行政への提言活動、関連事業活動の拡大を図ってまいりたいと考えます。

 本年の創立50周年ではいくつかの記念事業の実施も計画しております。JIRA会員の皆様のご理解とご協力をお願いするとともに、皆様のご健勝とご多幸をお祈りして、新年のご挨拶とします。

一般社団法人日本画像医療システム工業会
会長  小松 研一